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財団設立の想い 〜どうしても知って欲しい事〜

近野兼史●どうやって人生を過ごすか

 私が「財団法人近野教育振興会」を設立して、育英資金を提供したり、文化的な行事を行おうとしたのは、唯単に人助けとかいう単純な気持ちからではありません。郷土の皆様や地域社会に少しでも御恩返しができるものならばと祈りを込めて、ささやかな一隅の灯ではありますが、市内高校生の授業料供与を含めた育英事業等、教育・文化・環境問題に何らかのお役に立つような社会奉仕をしようと明るい希望をもって取り組む事にしたのです。政治も経済も教育も文化も、すべて根の方はつながっているもので、国の盛衰は若者によって決まるといいます。私は、戦争で南太平洋を駆け巡りましたが、奇跡的に命があり、「こうして生きている事には余程の意味がある」と思うようになりました。

 中学(旧制)を出る頃には金銭的にも何とかなる経済的な家庭でもなかったため、尚一層、これらの経験からして、元気の無い人には元気を与え、間違った事をやろうとしている人には的確なアドバイスをしてあげられるところの考え方を伝え、経済的な問題で困っている人があれば、そんなに気にしなくてもやれるよと、その方法を話をしてやりたい為に、外から励ます役になろうと思ったのです。

 最近の世相をみるに急激に青少年の考え方が変化してきており、私たちが育った時代の感覚、考え方が全くみられなくなりました。次第に増加する青少年のさまざまな問題に、最も大切なことが忘れられていることに対して、少しでも知ってほしい、考えてほしい、そして具現化してほしいという思いを込めて、真に国家を愛し日本を少しでも良くしようと心掛ける青少年が1人でも多く育ってくれる事を願ってのことであります。

贈呈式 贈呈式

 当初の奨学生の方も、世の中に出て行かれた方もおられます。高校生時代に毎月金を貰って学校に行ったものだと、単にそれだけで済ましてしまっては、いくらよい種を蒔いても芽は出ません。真剣に考えて1日1日を過ごしてほしいと祈っております。その為には物事の深い意味を考えてみる事が大切と思うのです。

●家庭のきずな

 教育という字は教と育からなります。家庭でしなければならないのは教より育の方です。育てる為には、体の大きさでも分かるように、赤ん坊から若者の立派な体格になるまでには20年もの長い時間がかかります。かつては、地域社会に慣例があって、その中で若い人々は生きる規範を得てきました。

 今日では、人間はどこで心の成長の為の時間を持てるかと言えば、それはもう「家庭」をおいて他にはありません。1人の人間の性格をつくるのは、成人するまでの十数年間を過ごした家庭のあり方、すなわち両親の生き方そのものであると思います。奨学生決定通知書交付式に、第1回の時より必ず家族の方、出来れば保護者の方にも同席して頂きたいとお願いしました。

 世の中というものは、家庭の絆あってこそ、全てがうまく平和にいくもので、親子の関係程大切なものはありません。親も子も一緒になって感謝の生活を送る、即ちありがとうございますという気持ちが家の中にあってこそ、素晴らしい人生を送ることが出来ると思います。素晴らしい人生は、このような親子関係の絆のある事が何より大切な事です。このことを忘れずに毎日を過ごしていただきたいと思うのです。

 混迷する現代社会に、荒廃する学校教育に、多少なりとも投影させる事の出来る、そして青少年の情操教育の一助になることはないものかと思いをいたすとき、のんびり、ゆったりとした反面、忍耐強く、現実的で倹約型であるといわれる、米沢古来の人間性を見つめ直し、郷土から輩出された方々の忌憚のない体験談や人生観を見聞する機会をつくることにより、上杉藩から流れる気風を若き青少年に多少でも感じてもらえることが必要だと思います。

 唯物的で、刹那的に流れやすい現代の若者の感覚が古いものを疎ましく思ったり、悔ったりする傾向にあることは否定できませんが、時代を超えて捉えることのできる真理を伝える事も私たちの務めと考えるわけです。誰もが死を意識したときに、家庭の行く末、この国の行く末を案ずるということから教育というものが出発しているものであると思います。そのためには歴史の継承が最も大切なことと考えます。

正しい人間観を持つ所の自立する青年の育成を基本とし、各人が人の為に役立つ行いをすることにより、住みよい地域繁栄幸福に貢献する事が、この財団の願いです。

 教育とは、一口に言えば親孝行と国を愛する事だといえます。そこに、地方も良くなり、国の発展も出来るものと私は思っております。