出会いを生かして ●商人として生きる 私は、小売業ほど面白いものは無いと思うのです。商売の成功と失敗を分ける原因が、自分がやりたいように生きるという、その生き方そのものから生れることが商人の面白さであり、商人という生活は本当に人間的な生き方であり、ある意味では最も幸福な生き方であり得ると思います。と同時に、それにふさわしく危険であり、むなしさもあり、挫折もあり、悲しさもあり、ときには死にたくなりさえもします。 ●私の出会い 当時、目黒の権之助坂でオリオン堂という洋品店を経営し、混乱する商業界の中で適正な税金の支払い運動を展開し、青色申告制度を提言し、今日の日本の税制改革を断行されるに至った事で有名な喜多村実先生との出会いは、私たちの、ややもするとくじけそうな気持ちを引き立ててくださり、商人の素晴らしさ、その役割の重大さを知ることが出来ました。お客様の喜びを我が喜びとする商いの真髄を教えていただきました。悩んだ時には、いつも良きアドバイスで励まされ支えられたのです。 喜多村実先生と共に 人の幸・不幸は人との出会いから始まるものといってよいと思うのです。出会いというのは偶然に人と人とが会うことではなく、出会いの後の人生に、ある意味を与え、その方向に何らかの決定的な影響を与えるものでなければなりません。人を求めて、初めての方との出会いをチャンスと捉えて、色々の悩みを聞いてもらいご意見を伺う事は一番大切なことで理屈でない実践学であると今でも思っています。素晴らしい仕事をされた方は、どんな人でもその人ならではのお考えがあり、どんな話にもムダがありません。 ●人生は一回限り 今日の出会いから、新しいものを発見することに努力してこそ、人生の進歩があります。私はこれまでの生涯の中で、多くの本当に良い先輩、友人に恵まれてきました。この出会いも私たち夫婦の人生をどれだけ豊かなものにしてくれたことでしょうか。毎日毎日の仕事が本当に人に役立っている事、多くのお客様に喜んで頂いていること・・・ 商人の冥利これに過ぎるものはありません。その感激はどんな困難をも突き破り、前進を続ける事ができたのです。多くの先輩やお客様のご声援を忘れてはならない、御恩返しは自分の道でお返しする事であるということが私の人生観となっていきました。 喜多村一先生(喜多村実先生のお父様)から頂いた人生訓 |
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